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近頃、人間工学の分野から柔らかいベッドや敷布団が寝姿勢に障害を与え、身体に悪い影響を与えていると言われています。
人間にとっての睡眠は、生理学からいってあまりにも当たり前のことなので、ついつい眠りについて深く考えないで、毎日を送っているといっていいでしょう。
特に大事なのは、「睡眠の質」と「睡眠時の環境」ではないでしょうか。
睡眠の質とは、睡眠の時間と深さをカケたものであらわされるもので、(眠りの時間)×(眠りの深さ)が一定の量になれば、眠りは足りて自然と目が覚めることになります。
脳波を調べてみますと、完全な深い睡眠の状態は、長時間眠る人も、短時間しか眠らない人もどちらも15分ぐらいです。この15分の睡眠を得るために、残りの数時間が必要なのです。
睡眠の質については、かなり研究が進んでいるようですが、こと睡眠を補足する環境、特に睡眠と寝具の関係については、研究が遅れているのが現状のようです。
睡眠で疲労を回復するには、寝具、特に敷布団、枕、それに寝姿勢といったことに密接な関わりがあることが、最近、人間工学の分野から明らかにされています。
もっとも寝心地のいい寝具は、柔らかいフカフカとした敷布団であるといった考え方が普通で、それを好んで使用してきました。
しかし、寝姿勢の研究から、最良の寝姿勢を保つ条件はこれまでの柔らかい綿布団、柔らかいマットレスではなく、ある程度の硬さと弾力性のある敷布団がその条件に適っていることが分かってきています。
健康な人は、一晩に20〜40回も寝返りを打つといわれていますが、いわゆる背骨を真っ直ぐ伸ばした状態で仰臥している時が、一番眠りが深いことが生理学的に証明されています。
一方、睡眠時の体圧分布と寝心地では、適度の硬さの布団で寝た時と柔らか過ぎる布団で寝た時との体圧分布をみると、硬めの布団は、感覚の鈍いところに大きな圧力がかかり、鋭いところには小さな圧力が分布しています。
柔らか過ぎる場合には、体の最も重い部分が集中的に落ち込み、その結果、不自然な体型になってしまいますので、ふわふわと柔らかく、体を包み込むベッドや布団は良くないことが分かります。
これを実験データーでみると、適度の硬さのある布団に寝た時は、睡眠時間の45%は上を向いて寝ているのですが、お尻の落ち込む布団では、8%しか上を向いて寝ていないことが分かっています。
そこで薄いせんべい布団に寝かせてみたところ、上を向く割合が30%になった。
このことからも、ベッドや布団は、柔らかいものよりも硬いものの方が、姿勢を正しく保つことが実証されたわけです。
さらに、マットでも敷布団でもそうですが、使用する場合に皮膚への感覚(肌あたり)が重要です。
この点について、柔らか過ぎるマットや敷布団は、一見快適なあたりではあるが、背骨の方はかえって弯曲してW型がおおきくなり、胸腹部が圧迫された形となって、寝苦しくなります。
寝返りは、疲労回復のための生理現象です。寝返りを打つことによって、適度に運動し昼間のうちに蓄積された疲労が少しずつ解消されます。
寝返りは、活力の証拠でもあります。その意味からも、当然、寝具は寝返りが楽に打てるものでなければならないのです。
「よく寝たつもりなのに、目が覚めた後にまだ疲れが残っている」と感じる人は、柔らかい布団を使用していることに原因があります。それだけならいいのですが、柔らかくて体が沈むと、腰に力が入り背骨や骨盤のズレを誘発したり、体の一部分が圧迫されて血行も妨げます。
そのため、寝たきりの病人は床ずれで悩み、健康な人でも疲労が蓄積して肩凝り、腰痛の原因になります。
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